消費税の「事業者判定」の基本を押さえる
■まずは「免税/課税」と「簡易課税/原則課税」を判定する
多くの社長や経理担当の方とお話ししていると、
「消費税は少し苦手で…」という声をよく耳にします。
専門的な分野ではありますが、基本の考え方を押さえておけば、決して難しいものではありません。
消費税でまず大切なのは、
自社が免税事業者なのか、課税事業者なのか、
そして課税事業者であれば、簡易課税なのか、原則課税なのかを判定することです。
図の通り、消費税には「第1判定」「第2判定」「第3判定」と、3段階の判定があります。

まず第1判定では、基準期間である「2期前の課税売上」によって、納税義務の有無が決まります。
・2期前の課税売上が1000万円以下 → 免税事業者
・1000万円超 → 課税事業者
なお、1000万円以下であっても、届け出をすることで課税事業者になることも可能です。
ここが、免税か課税かの分かれ道となります。
免税事業者であれば、少なくとも今期の消費税の納税はありません。
続いて第2判定では、課税事業者となった場合に、
簡易課税か原則課税かを判断します。
・2期前の課税売上が1000万円超〜5000万円以下 → 簡易課税を選択可能
・5000万円超 → 原則課税
つまり、2期前の課税売上によって、
今期が免税か課税かだけでなく、計算方法まですべて決まるということです。
■課税売上5000万円以下なら簡易課税がラクで有利
2期前の課税売上が5000万円以下の場合、多くの会社が簡易課税を選択します。
理由は、原則課税に比べて帳簿処理がシンプルだからです。
簡易課税では、業種ごとに「みなし仕入率」が定められており、その割合を使って消費税を計算します。
これが第3判定(業種による判定)です。
業種は次の6つに分類されます。
卸売業 → 第1業種
小売業 → 第2業種
製造業 → 第3業種
飲食業など → 第4業種
サービス業(税理士・保険業・金融業など) → 第5業種
不動産業 → 第6業種
この業種ごとに、みなし仕入率が異なります。
たとえば、わたしたちの事務所は第5業種に該当するため、売上の50%を仕入れとみなして差し引くことができます。
仮に課税売上にかかる消費税が100万円であれば、その半分を差し引くことができるため、計算もシンプルです。
サービス業のように仕入れが少ない業種では、この方法のほうが有利になるケースが多くなります。
なお、卸売業ではみなし仕入率が90%と高く設定されています。
商品を仕入れて販売する業態のため、こういった仕入率になっているのです。
このように、簡易課税は売上を把握していれば計算できるため、多くの会社に選ばれています。
■売上が5000万円を超えると原則課税になる
一方で、2期前の課税売上が5000万円を超えると、簡易課税は選択できず、原則課税で計算することになります。
原則課税では、
・売上ごとの消費税
・仕入や経費ごとの消費税
を一つひとつ確認し、課税売上に係る消費税から、課税仕入に係る消費税(インボイス番号があるもの)を差し引いて計算します。
そのため、簡易課税に比べると手間はかかりますが、正確な計算が求められる方法です。
【メッセージ】
「課税売上」という言葉を使っていますが、消費税の世界には「非課税」「不課税」といった取引もあります。
ただ、ここで細かく考え始めると混乱しやすいため、まずは
「消費税がかかる取引を基準に考える」
というイメージを持っておけば十分です。
また、最近はインボイス制度も関係してきますが、まずは
「自社がどの事業者に該当するのか」
を押さえることが第一歩です。
ここが理解できれば、その後の判断もスムーズに進めやすくなります。

